東南アジア最後の秘境と呼ばれるラオス。そのラオス北部の都市、ウドムサイから綴る日本人のブログ。 PMCという特産品(クズやシナというラオスでも稀少な産品を素材に使った製品など)を扱うショップで、ボランティアとして日々何かしらに奮闘しています。
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前回の投稿では、価格戦略でGMROIについて触れました。
それは、私の配属先であるPMCの在庫商品の回転率が低いと判断していたためです。
そこで、粗利益率を低下させる代わりに商品回転率を高めることを、価格戦略のひとつとして考えています。
もともと利益率はあまり高くないと思っていますが、長期化しがちな商品や生産者支援の観点から多く売りたい製品については必要なことだと判断しています。
しかし、またひとつPMCには問題があります。
PMCの業種分類は製造小売になるのですが、商品が一品一品手づくりのハンディクラフトのために、絶対的生産量が多くないという点です。
つまり、商品回転を高めようとすると、在庫不足を生じさせる懸念もあるのです。
供給がオーダー(需要)に追い付かない状況ですね。
在庫不足が原因となって商品回転が上限に達してしまっては、利益が減る可能性もあります。
そこで、年間当たりの最大生産量から商品回転値を考慮して、価格を決定しないとなりません。
また、花形商品を絞って生産するというのも大事になってくるでしょう。
もちろん、ある程度商品の幅は必要なので、その中で重点商品を絞る必要があります。
赴任して1年超が経過し、ようやくデータも揃ってきました(1年分の統計でしかありませんが)。
今までなんとなくで、やってきたことに少しずつ思考を加えて、関係者みんなにとって効率的な業務運営ができるようにしていきたいです。
いろいろな制約条件を考慮しないといけませんが、こっちが本職なので、少しはそれっぽいことも協力隊活動の中で残していきたいと思います。
以前、販売価格を引き下げることは販売量の増加を要求するので注意が必要だ、と述べたことがあります。
ただ、その可能性を十分検討した上での戦略なら、もちろん有効に働くこともあります。
つまり、利益率の減少以上に、販売量の増加により売上・利益が多くなるようなケースです。
参考とする経営指標に、「GMROI」というものがあります。
小売業などでは有名な経営指標なので、耳にしたことがある方も多いかと思います。
GMROIとは、Gross Margin Return On Inventory Investmentsの略称で、日本語では「商品投下資本粗利益率」と言われます。
商品在庫投資に対する効率性・収益性を示す指標です。
GMROI(%)=売上総利益÷平均在庫高(原価)であり、
この式を分解すると、
GMROI(%)=粗利益率×商品回転率(原価ベース)となります。
ここから分かることは、
在庫投資にかかる収益性には、「粗利益率」と「商品回転」の向上の、2つの観点からアプローチが可能であるということです。
「粗利益率と商品回転を高めるような戦略がいい」と言ってしまえば、当然のように感じるかもしれませんが、もうちょっと細かく見ることも可能です。
たとえば、先の例で言えば、
①価格を落として販売量を増加させようというのは、利益率を減少させて商品回転高めようという戦略であり、
GMROI(↑)=粗利益率(↓)×商品回転率(↑)を目指すものです。
一方、
②ブランド品などの販売を行う店では、
GMROI(↑)=粗利益率(↑)×商品回転率(↓)で、収益性の増加の達成を目指すことも可能です。
私の配属先では、多くの生産者の人々の生計向上という使命を帯びているので、どちらかと言えば、上記①で収益性を高めるのが望ましいと思っています。
もちろん、
③利益率も高く、商品回転も良い商品によって
GMROI(↑)=粗利益率(↑)×商品回転率(↑)を達成するのがベターなので、
そういう商品開発も行っていきたいです。
GMROIも概念で言えば、「なんだ、そんなこと今さら」という印象を受ける方もいるかもしれません。
しかし、これを指標として知っていれば、具体的な数値として経営判断を行うことができます。
もちろん感覚的になんとなく経営を進めることも可能ですが、なんとなくではなんとなくの経営判断しかできません。
少なくても私は怖くてそんなことできません。
配属先、ひいては生産者のために、最適な戦略をとれるようにしていきたいです。
よく事例に挙げられるものですが、
とある、靴を履く風習のない国への、靴の市場調査。
調査員A:「ここでは靴は売れない。みな裸足で歩いているから、靴の使用はしない。」
調査員B:「この国は、可能性のある市場だ。革新的に靴を広めることができる。」
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全く同じものを見ていても、その結論は大きく異なっています。
一般にはBの判断を勧められる風潮があるようですが、Aの判断を下すことも、私は正しい判断だと思います。
どちらの選択が正しいかは、結局のところ結果を見てみないと分からないかもしれません。
ただ、その判断をする上では、Bの可能性も検討している必要があると思います。つまり、同じ答えを選択した場合であっても、それしか答えがないと思って選択するのと、いくつかの選択肢の中から選択するのとでは、稟議の質が違うでしょう。
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話が逸れてしまいましたが、これはリフレーミングと呼ばれる発想法のひとつの事例です。
見方によって物事のとらえ方は変わるので、あえて別の視点で、新しい見方で物事をとらえようというものです。
うちの営業活動に活かせば、
① バッグを扱っている店に、営業をかけた方がいいのではないか
② まだバッグ等の小物を扱っていない店に補完的な提案をした方がいいのではないか
もっと広い視点で見れば
③ アパレルを扱っている店に営業をかけるか
④ アパレルは扱っていないが、別ジャンルですでに流通網を持っている店に営業をかけるか
と言った、発想の広がりができるかもしれません。
また、もっと他にも別の選択肢はあるかもしれません。
いずれにしても、可能な限り広い視野で、柔軟な発想で活動は考えていかなければならない、と最近のマーケティング活動を考えています。
最近、「仕事観」について考える出来事が重なってありました。
(配属先だけではなく、日本人との関係も深くあります)
何の脈絡もないですが、今日は個人的に思ったことを、書き連ねたいと思います。
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・顧客以上の商品知識を持っていなければ、スタッフはいる意味をなさない。
・店に入る前から欲しいと思っている客に、商品を売るのに技術はいらない。
プロなら、店内で欲しいと思わせて買ってもらうのが仕事。
・仕事が何もない、という嘆きは、プロ意識の欠如。
仕事は与えられるものではなく、創るもの。
・自分に与えられた仕事のための仕事をやっているうちは、飛び抜けた仕事はできない。
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基本的に、仕事は受け身になっていては、一定以上の成果は出せないと思います。
まぁここで書くのも言うのも簡単なんですけどね。
いろいろ浮気してしまいましたが、
マーケティングについての全6回の記事の最後に、実際にマーケティングを進めるに当たっての留意点を説明します。
それは、分析した市場機会と標的市場、マーケティングミックス(製品、価格、チャネル、プロモーション)の各戦略に一貫性があるかということです。
たとえば、成熟した上質な雰囲気の店舗にこだわるコーヒー専門店D社のマーケティングについて考えてみましょう。
D社は、今後も人々の多様な価値観の中で、上質なものにはお金を惜しまない層が増えていくと分析しました。
そこで、D社の標的市場は、シックな雰囲気を好む40代から50代の男女と設定されています。
コーヒーは、産地にこだわって海外から独自のルートで仕入れた豆を自家焙煎で提供しています。こだわりの材料を使ったメニューは、外資系チェーン店と比べるとやや高めの価格です。なお、お店は閑静な住宅街の玄関口としての性格が強い駅前に立地しており、来店客の多くが常連客となっています。
このD社の戦略は一貫性があると言えるでしょう。
しかし、ここでD社が価格・プロモーション戦略として、値下げを実行したり、割引クーポンを多く発行したりしたらどうなるでしょうか。
価格に敏感な新たな客の増加はあるかもしれません。しかし、最終的には価格競争に負けてしまったり、これまでのブランドイメージが崩れたりしお客様が減ってしまう可能性も考えられます。
マーケティングはただ闇雲に実行しても成功しません。しかし、正しいやり方でマーケティングを進めれば、厳しい経営環境にも対応できる強い会社をつくることができるでしょう。