東南アジア最後の秘境と呼ばれるラオス。そのラオス北部の都市、ウドムサイから綴る日本人のブログ。 PMCという特産品(クズやシナというラオスでも稀少な産品を素材に使った製品など)を扱うショップで、ボランティアとして日々何かしらに奮闘しています。
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私が活動してきたPMCは、
県の産業商業局が運営する、設立5年(赴任当初)のハンディクラフト製造小売・卸売を担う組織。
その主力商品は、ラオスの少数民族のひとつ“カム族”の伝統的なバッグです。
葛や科といった自然素材を繊維にしたハンディクラフトの商品は、自然の風合いが楽しめるファッションとして差別化要因はあると、私は判断します。
ただし、以前から店舗と商品の視認性・認知度が高くないために、赴任当初は売上が伸び悩んでいる状況にありました。
そこで、私が取り組んだのは、「Noticeable」をテーマにした、事業プロセスの構築に必要な基本的なツールや概念の導入。
製品開発、運営管理、販路開拓の3つのそれぞれの分野で、その活動を進めていきました。
そして、2年が経過。
「私は、活動先であるPMCにどんな成果をもたらすことができたのか??」
PMCの小売・卸売業としての事業性、また組織の設立目的から、
「来客数」「販売額」「生産者数」の推移を指標に用いて、自身のPMCに対する活動成果を振り返ってみたいと思います。
(※数値データの公表は、配属先の許可を得ています)。
1. 1日当たりの平均来店グループ数
2014/1月~2014/8月 0.44組
(60組/カウント可能営業日数136日)
2015/1月~2015/8月 1.23組
(166組/カウント可能営業日数135日)
赴任初年度に対し、2年目には2.79倍の来客数になりました。
(私が赴任してから取りはじめたデータなので、2年分の数字しかありません。)
一応の増加となりましたが、実は計画を立てた段階ではそんな数字マジックではなくて、一日当たり2.0組の来店を目標に設定していました。
結果としては、その目標値に達することができませんでした。
もっと市内の中心道路に看板を設置したり、ホテル、レストランでの周知を進めたりしたかったのですが、それに向かってスタッフを動かしきることができなかったのが私の反省点です。
各活動には、スタッフに対して約1年の定着化の期間を設けていましたが、まだまだ自分のマネジメントの至らなさを痛感し、考えることが多かったです。
この指標については、自分で活動をやって結果を残すべきであったのか、それとも、スタッフと一緒に動くために待って正しかったのか、という葛藤が今でもあります。
2. 総販売額(製造小売売上+受託商品売上)
2012/9月~2013/8月
132,383 千キープ (≒16,360USD)
2014/9月~2015/8月
297,602 千キープ (≒36,790USD)
※2015年9月11日現在 1キープ=0.0001236USD
赴任前年に対し、私の活動2年目には2.25倍の総販売額(20,420USDの増加)となりました。
(本当は2012年以前からの推移も見たかったのですが、信憑性のあるデータを見つけられませんでした。)
こちらは、2.0倍を数値目標にしていたので、目標クリアです!!
正直、こちらも自分一人でどんどん活動を進めてしまえば、もっと数字を伸ばせた自信があります。ただ、それもきっと自分のマネジメントの力の至らなさを語ることになってしまうんですよね(苦笑)
けれども、何はともあれ数字が残せたことでひとまず安心しています。
3.生産者数
2013/10月時点
葛の生産: 4村 70人 (全体:10村140人)
2015/8月時点
葛の生産: 6村 150人 (全体:15村240人)
PMCでの販売額の増加に伴い、生産者数も増加させることができました。
これについては目標設定をしていなかったのですが、PMCの事業性から考えればうれしい成果です。
事業としてしっかり売上を上げれば、生産者側の生産意欲もわくという証明になったと思います。
というわけで、この2年間でPMCの事業機能は確実に強化できたと確信しています。
当初の最大目標であった「考える組織」には、正直もう少し経験が必要だと思っています。
しかし、毎月10日に開催するようにした月例会議を継続していってもらえれば、そのゴールには近づいていってくれるのではないかと思います。
何はともあれ、
スタッフの協力もあり、数字としてそれなりの成果が残せたことには満足しています。
自信にもなり、達成感も感じています。
この2年間は、
頭の中の知識や思考・アイディアを、文字や言葉・行動としてアウトプットする(形にする)機会になりました。そして、戦略を実行に移す力、「組織マネジメント」の力が鍛えられた2年間だったと思います。
その中では、日本もラオスも小規模事業者の抱える問題とそれに対するアプローチは、本質的にはあんまり変わらないなぁ、という自信もできました。
この2年間のマネジメントの経験は、苦労を克服する経験、自分に自信を与えてくれる経験になりました。
次の就職先はまだ決まっていませんが、
どこで働くことになっても、この経験を役立たせていきます。
本当は今月中旬には提出する予定であった
配属先に対する「最終レポート」。
今は8月下旬ですが、
ようやく完成しました!!
8月中旬というのは自分で設定した期限に過ぎないですが、
配属先の予定を考えれば、任地を離れる1カ月以上余裕のあるそれくらいにはやっぱり完成させておきたかったというのが本音です。
やらなければならない想定外のものがいろいろあったわけですが、それもまた自分の都合で言い訳になってしまいます。
(先週末には、旅行に行ってしまいましたしね)
私もまだまだ。
まぁ、何はともあれ、
なんとか完成してほっとしています。
仕事の報告書や提案書は、客観的に書くように努めてしているのですが、
今回は普段よりも主観的になってしまっていると思います。
配属先には、2年間一緒にいた想いも合わせて書かせてもらいました。
あとはこのレポートを配属先にうまく伝えて、私の2年間の活動もいよいよ終わりになります。
残りわずかの活動。
最後までしっかりやって、活動を締めたいと思います。
そして、PMCが今後さらに発展してくれることを祈っています。
PMCスタッフからの依頼があり、
商品に付ける価格タグを新たにデザインしています。
そのスタッフの言い分+自分の意見を踏まえた現状の価格タグの問題点は、
・書き込まない情報のところまで、記入欄がある。
・書き込みたい情報の記入欄がない。
・情報が更新されていない(電話番号、webアドレス、Facebookページへの誘導)
・PMCロゴの縦横比を変えて、縮尺されている
こうして振り返ると、
実際に使うスタッフの意見をうかがわずに勝手に作成しているので、
使いにくいものになっているようです。
そして、この作成スタッフは自分で使わないので、
情報更新の必要性をあまり感じていなかったようです。
そこで、今回は、依頼してきたその価格タグを実際に使うスタッフの意見を聞きながら、価格タグの作成を進めています。
主に変更する点は以下の通り。
1.記入項目の見直し
(生産者名の記入、商品情報の追加、商品名・コードの重複項目の削除...)
2.情報の更新
3.デザインの見直し
(PMCロゴの縦横比は、本来のものを維持する)
4.価格変更に対応できる仕組み
(海外の展示会に持って行く際、通貨単位を変えてもすぐに対応できるようなものにする)
5.商品素材ごとに異なった価格タグを作成
(それぞれの素材の説明、特徴、必要な情報を付記するため)
「1」,「2」,「3」については、その文のままの通りです。
「4」については、価格タグを顧客用と、PMC用とで2枚にすることで対応予定です。
具体的には、顧客用には価格を記載せず、価格変更時にはPMC用のタグを差し替えるだけで対応できるようにするつもりです。
また、このことによって、PMCで販売した際にその商品のタグを保管できるので、販売した商品の確認がしやすくなります。
「5」においては、いくつかの商品は自分で例を示し、残りのデザインは引継ぎ中のスタッフにやってもらっています。
私の帰国後に、何かまた変更したい項目が出た時には、このスタッフがやってくれることでしょう。
こういう新たなものの導入はこの時期はやらないつもりでいましたが、
引継ぎ用のスタッフに今後を任せられそうなので、引き受けてやってみました。
基本的には、「価格タグ」という狭いものの経験ではなく、
広告作成及びマーケティングの概念の経験としてとらえてもらいたいと本人には伝えてあります。
大したことのない活動ですが、一歩前進。
時間のない中、やることは多いですが、
悔いのないように最後まで詰めて仕事をしていきたいです。
最近、活動で悩んでいるのが、
「スタッフに対して怒るかどうか」、ということです。
というのも、ラオスでは一般に、
相手に対して怒らない方がいいと言われています。
そして、個人的にも怒るというのは疲れるのであまり怒りたくない、
というしょうもない理由もあります。
ちなみに、ラオスで怒るとダメな理由としては、
① 怒るというのは、あまり人間ができていない人がやる行為とみるから
② ラオス人は怒られ慣れていないので、すぐ挫けてしまうから
と聞きました。
しかし、実際には、①のようにそんな理性的な考えに基づいて、怒られたときの対応をしているとは思えません。むしろ、②のように怒られ慣れていないので、びっくりして固まるというのが適切な感じがします。
ただ、②の関しても個人的な推測ですが、
ラオス人のメンタルがガラスのように弱いというのではなく、
やるかやらないか(本音はやりたくない派)でうろうろしている人が、
怒られたことによってやらないことを選択するきっかけになってしまっている気がします。
もしくは、怒られたことで①を理由にして、やらないでいいという口実に転換してしまっているような感じです。
または、怒られてまでその仕事をやりたくないというのが、本音かもしれません。
日本であれば「去る者追わず」、で良いのかもしれませんが、
怒ったらいなくなってしまうかもしれない人間を含めて何とかするのが、今の仕事だと思っています。
そこで、辛抱強く小言を言い続けてみたり、権力者を使ってみたりするわけですが、
将来的には自力で何とか「仕事」をしてもらわなければならないわけです。
そこで、自分のマネジメント力の至らなさもあってか、
いつまで経ってもなかなか手を動かせないスタッフには、
何かを変えるためのきっかけが必要だと思っています。
今までは討論、レポート、小言、陳情、指示、上司・同僚からの根回し、年下スタッフからの突き上げ、経験から学ばせる、、、等、いろいろやってきたわけですが、どれも効果は継続せず、本人の心には落ちていないようでした。
私が想定しうる対策の中で試していないのが、
実績と連動する報酬制度と、「怒ってみる」ということ。
給与体制は、行政組織に属しているので変更できないので、
残りの「怒る」という行為がまだ配属先では実施しうる余地のあるものということになります。
日本でもそうですが、
感情に任せて怒るというのは、かえって相手に伝わらないと思います。
しかし、そこに正当性・論理性があるならば、
「怒る」ということも、想いを伝えること、そのことの重要性を切実に訴えるという意味で、時には必要になってくるのではないでしょうか。
配属先の未来を想う気持ちは、間違いなく私の方が強く持っている自信があります。
ただし、人間関係の大切なラオスという場所で働いているということを忘れずに、手順を間違えないように慎重にやらないとならないでしょう。
しばらく先になると思いますが、いいタイミングで実行して効果を見られたらいいと思っています。
なんとなく今回のも3日くらいしか効果はなさそうな気がしますが、スタッフを信じてやってみたいと思います。
※ちなみに、ラオスで怒ることについて私が書いた別の記事がこちら
ちょうど1週間前の2015年7月8日(水)。
私の残り営業日数が56日となったその日に、PMCに新しいスタッフがやってきました。
彼に与えられた業務内容は、「私の仕事の引継ぎ」。
私としてはこの1年くらいをかけて計画的に、従来の配属先スタッフに一応は業務を引き継いできたつもりでいました。
しかし、上司としては、それだけではやや不安が残るということで、
産業商業局の局長に新しいスタッフを要請してくれていたようです。
私が提案してきた仕事を、私の帰国後も配属先に残そうとしてくれているのだと、ありがたく受け取っておきます。
新しく来たスタッフは、まだ20代。
若いですが、その分素直で、かなり一生懸命頑張ってくれています。
教えたことの理解も早いですし、行動も早いので安心して仕事を任せられるタイプです。
そして、ラオスに来ておそらく初めて、「ホウ・レン・ソウ」がしっかりできるスタッフです。
日本では当たり前に語られるホウ・レン・ソウですが、その当たり前をしっかりやってくれることに、ものすごく安心感を覚えるものなのですね。特に、half-finished のまま仕事を忘れることが多いラオスの職場では、すごく助かります。
また、教えたことに対しては、自らのアイディアを付け加えてレスポンスをくれることもあり、
意見を交わすことで私が伝えたいことも伝えられやすくなりますし、私自身が気づかされることもあります。
残り2カ月ほどで時間がないので、今は日中マンツーマンで仕事を見ています。
新たにシラバスを作ったり、今まで日中にやっていた仕事を定時後にやったりと、相変わらずバタバタしていますが、
それでもがんばって覚えてくれようとしている姿を見ると、こちらのモチベーションになります。
特にここ数日は突然の仕事が降って来て寝不足の日が続きますが、あと数日頑張りたいと思います。
これまで停滞してしまっていたマーケティング(販路拡大)部門に対し、彼が大きな戦力になってくれることを祈っています。
初めは2カ月という短期間に不安がありましたが、
すでに2年間苦労して教えてきたスタッフよりも仕事をしているのではないかという虚しさも覚えるくらい、今のところ順調です。
まだ異動があって1週間ほどなので、彼を見極めるのは早いですが、
このままうまく業務の引継ぎができれば、私も大変うれしく思います。
残り2カ月、ここで仕事が増えるとは思っていませんでしたが、
ありがたいことだと思い、出し惜しみをせず今のベストを尽くしたいと思います。