東南アジア最後の秘境と呼ばれるラオス。そのラオス北部の都市、ウドムサイから綴る日本人のブログ。 PMCという特産品(クズやシナというラオスでも稀少な産品を素材に使った製品など)を扱うショップで、ボランティアとして日々何かしらに奮闘しています。
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いろいろな企業を見てきて、その現況分析や経営戦略の策定が難しいのは、
企業はヒト・モノ・カネの3つの要素が複雑に絡み合って動いているからです。
単純な例を挙げると、
例1.人件費削減を目指して人員削減を進める⇒仕事が回らなくなり、売上が下がる。結局、利益額は下がる。
例2.人件費削減を目指して給与削減を行う⇒従業員の士気が下がり、製品品質が落ち、売上が下がる。
例3.機会損失を防ぐために在庫を増やす⇒在庫コスト、資金繰りが悪化する。不良化して、特別損失を計上する。
例4.品質の高い商品を提供する⇒原価に伴い販売価格が上がり、売上がかえって落ち込む。
例5.お金をかけて商品開発をする⇒新商品も市場ニーズに合わず、投資をバックできない。
例6.売掛金回収が遅れ、資金繰りがタイトになる⇒取引先の業績悪化の兆候。
例7.メイン先からの受注が減り、売上が減る⇒取引先にトラブルがあり、今後も何らかのトラブルが。
・・・等々。
なぜかネガティブな例になってしまいましたが、
単純な構造でも、ヒト・モノ・カネはつながっています。
(ヒトの要素は、上記の行動の帰結は、経営者の経営判断によるものということで理解してください。外部環境との兼ね合いもありますが、それも裁量の一部ということで。)
また、中小企業の経営者の方の大きな関心ごとは、「カネ」の問題でしょう。
そして、もし資金繰りに窮している時には、銀行による融資の相談の話が上がることが多いでしょう。
そんな時の銀行の立場をちょっと考察してみたいと思います。
まず前提として、銀行は融資の相談を受け、融資を実行する側です。
その役割としては、カネが原因となって経営活動がうまくいっていないと見込まれる企業に対し、その供給を行い、経営活動をスムーズにしていくことがあります。
そしてその報酬として、利子収入を得ることになります。
この時、銀行が考えるのが、
なぜその企業は資金が必要になったのかということです。
使途の妥当性もありますが、資金が必要になった背景も知りたいと思うでしょう。
なぜなら、企業はヒト・モノ・カネが複雑に絡み合った存在です。
カネがないから、融資相談に来るのは当然ですが、カネがない別の原因が他の活動にあったりします。
極端な例を挙げれば、企業の経営活動において恒常的に赤字の体質になっていたら、いくら資金を供給してもまたカネはなくなってしまいます。そのような場合、カネを与えても、その別の原因が解決されなければ、焼け石に水です。
そういうことが懸念されるような状況では、融資を進めることは難しいでしょう。
(もちろん、カネがないだけで、カネさえあれば経営活動がうまく回るのであれば、銀行はお金を貸してくれるでしょう。)
銀行にとっては、企業にカネがないことの原因が何なのかを掴むことが、融資判断のひとつの大事な材料になってくるのです。
つまり、カネ以外の要素がどう結びついてカネの問題に影響を及ぼしているのかを重視するのです。
カネがないことが他の原因の結果であるならば、銀行は、その原因の実現可能な解決策が提示されなければお金を貸してくれないでしょう。
その解決策というのが、カネ以外の要素にも及ぶ「How」のアイディア、経営の改善計画なのです。
この銀行の融資判断の例からも、
ヒト・モノ・カネは、複雑に絡み合って企業を構成しています。
企業の3要素であるヒト・モノ・カネは、「How」で結びつき、「戦略」としてひとつになります。
そのことを踏まえて、私たちは経営状況(現況)を判断し、今後の戦略を策定していかなければならないでしょう。
・・・それにしても、今日はやたらカネ、カネ言ってしまいましたが、プライベートではそんなに言いませんよ。
1.手で高らかに掲げて勝利に歓喜する
2.部屋に飾って勝利の余韻にひたる
3.ビールを入れて勝利に酔いしれる
何かに盛り上がって作るこういう一体感、組織として大事なのかもしれない。
前回、企業はヒト、モノ、カネと書きましたが、
それらが最初からすべて揃っている企業はなかなかないと思います。
そこで、大切なのは自社資源の現状を把握し、それらをいかに動かすかという「How」の部分だと私は考えています。
つまり、今あるヒト、モノ、カネという3つの要素を、いかに動かして会社の戦略を立てていくかが重要なのです。
創業希望者の方や経営改善を目指す方の話をうかがっている際、商品そのものについての話は必ず話題に上がります。
しかし、それをどのような方法でお客さんに売っていくのか、どのような手法で販売先を確保していくのかという話は、耳にすることが少なかったりします。
そこまで考えていると、事業の将来が見えやすくなってきます。
また、その中で大切なことが、
ヒト・モノ・カネの何かが欠けていても、それをアイディアで補っているということです。
そういった意味で、現状把握を活かした「How」の思考が、経営戦略には大切になってくるでしょう。
私は企業の評価をする際には、儲かる「仕組み」ができているかどうかをチェックしています。
その仕組みが、「How」によるヒト・モノ・カネの経営資源の活用なのです。
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PMCを例にとってざっくり考えてみると、
<ヒト>
・スタッフを適材適所に配置。あるスタッフへは仕事委託、あるスタッフへは仕事の徹底管理・マネジメント。効率的な人材配置のために、PMCでは近い将来、担当職務の配置替えを行うかもしれません。
・取引先とのビジネス深耕(いかにビジネスパートナーになっていただけるか)。
・マネージャーの人脈を活かした販路開拓。
<モノ>
・専門家は惹きつけるが、マイナーな素材⇒十分な製品説明を準備。
・途上国のお土産品としては高い価格⇒納得できる価値を提供。
・(市場にて)ラオス国内=スタッフが対面販売を行っている店舗を中心に提案営業。
・(市場にて)ラオス国外=リードタイムを受け入れてもらえる業者。ただ、PMCスタッフ自身にもっと徹底的な品質改善の意識が必要。
・視認性は悪い立地であるものの、小売店舗があるのはありがたい⇒それを補うための広告・宣伝活動。
<カネ>
・限りある資源をどの活動に分配するのか(絞りと集中)。
・使わないで貯め込むだけが善ではなく、必要な時には投資を検討する。
大切な事業アイディアなので、核心は書けませんが、以上のようなイメージです。
そして、その中では、
「ヒト・モノ・カネが十分でなくても、アイディアで頑張りましょう」なんていう、まさに協力隊の鑑のようなことが一番言いたかったりします。
企業の経営資源には、「情報」が加えられることもありますが、
企業の3つの要素と言えば、まず「ヒト」・「モノ」・「カネ」が挙げられることが多いです。
一般的な内容で言うと、
<ヒト>
・経営者(事業の舵取りを行うキーパーソン)
・スタッフ(労働力、協働の主体)
・販売先(ビジネスパートナー、駆け引きを行うことも。)
・仕入先(ビジネスパートナー、駆け引きを行うことも。)
・協力者
※以上の中では、ヒトの要素というものには、経営の知識だけでなく、性格や人脈などの属人的なものも含まれてくると感じています。
<モノ>
・商品(市場において競争力はあるのか、どこに強み(弱み)があるのか)
・設備(生産能力、固定資産)
<カネ>
・現預金(経済活動の基本となる要素として)
・資金調達力(手元資金の不足の際には、どこからか調達しないといけません。)
この3つの要素をまず確保することが、経営を円滑にする要素になってくるでしょう。
もちろん最初からすべてが完璧に揃っているわけではありません。
ただ、いかにこの3つの要素で基礎を固めるかが大事です。
当たり前過ぎるような要素に感じるかもしれませんが、
経営がうまくいかない時というのは、このどれかが滞っている時です。
何かにつまずいている時には、これに立ち返ることで
どこへアプローチしたらいいかという解決への方向性が見えてくるかもしれません。
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ちなみに、今の職場に当てはめると、
<ヒト>
・経営者=Ms.M氏
・スタッフ=Mr.D, Ms.T
・販売先=ラオス国内外 数店舗
・仕入れ先=生産者(農村女性グループ)
・協力者=JICA
<モノ>
・商品=クズ・シナなどの天然素材のハンディクラフト、手紡ぎ・手織りのコットン製品
・設備=小売店舗、壊れかけのプロジェクトカー
<カネ>
・現預金=健全な範囲
・資金調達力=あり(と判断)
ちなみのちなみに、今回のトピックは単調だったと思いますが、次回からの前提となる基本的な情報なので記事にしてみました。
年に4回ほどのペースで発刊される英文でのJICA広報誌「JICA’s World」。
その2015年4月号に、以前「mundi」に掲載された記事を紹介していただきました。
JICA’s world 4月号
・目次⇒http://www.jica.go.jp/english/publications/j-world/1504.html
・特集記事部分⇒http://223.27.200.5/www.jica.go.jp/english/publications/j-world/c8h0vm000096680o-att/1504_02.pdf
今年は協力隊派遣50周年のanniversary yearであり、4月号はJOCV(青年海外協力隊員)を特集した冊子となっております。
50年の歴史の中では、私の2年間の活動なんて些細なものかもしれませんが、
こうしてその歴史の1ページに加えていただいたことを素直にうれしく思います。
もう残りの任期も少なくなってきましたが、
これまでの協力隊OVや今後隊員になられる方々に誇れるような活動をしていきたいです。
最後に、
冊子に特集していただいた編集部の方々、ありがとうございました。
一緒に写真に写っていた配属先上司や生産者のお母さんも喜んでいました。
私自身もいい記念になりました。
これを励みに残りの任期もがんばります。