東南アジア最後の秘境と呼ばれるラオス。そのラオス北部の都市、ウドムサイから綴る日本人のブログ。 PMCという特産品(クズやシナというラオスでも稀少な産品を素材に使った製品など)を扱うショップで、ボランティアとして日々何かしらに奮闘しています。
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2年間もラオスで生活していると、組織を動かすためにはどうすべきかを考える機会がすごくあります。
そこで、前職の経験も踏まえ、私自身の経験からいくつかの留意すべき点をまとめてみました。
(長くなりましたので、2部作です。)
【ビジョンの共有】
① 理念があるか。また、それを伝えられているか
=最初に経営学を学ぶ時に出てくるフレーズであり、当たり前過ぎて軽視してしまいがちですが、実際にはこれが本当に重要だと実感しています。これが、スタッフに対して「共感」を呼ぶものであれば、各人のインセンティブとなって組織は自立的に、積極的に動くようになります。逆にこれがないと、活動の幹がなくなり、組織がどの方向に向かっているのか見失いがちになります。
② 基本的な情報の整理ができているか
=例えば、「いつどこで誰が誰に対して何をどのように進めるのか」という基本的な情報が
抜けていると、全く概要がつかめません。他にも、協力者や期待する効果、評価指標、予算計画、大まかな必要物品なども押さえておく必要があるでしょう。
③ 絵を描けるか
=そのプロジェクトやイベントについて、成功しているイメージを具体的に思い描くことができるかというのは、大事なポイントです。何か具体性に欠けるとイメージは描けず、そういう時は、何か抑えるべきポイントが抜けている時です。実際に、絵が描けるくらいまでイメージできた方がいいです。そして、スタッフに対しても、その絵を共有しなければなりません。
【何を理由に組織を動かすのか、自分の立場を明らかにする】
私が考える、組織を動かす元となるようなものは以下の4点です。
① 論理的正当性、合理性
=そのプロジェクトの目的・戦略に対して、その効果を納得させられるほどの論理的妥当性を感じればスタッフは動きます。
② 信頼、人間関係
=「この人のためには一緒に頑張りたい、応援したい」という個人的な感情でも、スタッフは動きえます。
③ 肩書、実績
=それ相応の肩書があると、人は付いていかざるを得ないと思います。特に、年功序列型の社会では有効な要素かもしれません。しかし、やはりそれは「自称」ではなく、「それ相応の」ものが要求されます。
④ 報酬
=金銭的報酬・非金銭的報酬どちらにせよ、スタッフがその労働の対価として十分な報酬が用意されていると感じれば、スタッフは動こうとするでしょう。
⇒論理的正当性は常に持っているべきだと思っていますが、
私は、上記①~④の何を根拠にしても組織は動かせるとも感じています。
いずれにしてもが、スタッフが「納得」することが必要です。
【対象者とのコミュニケーション】
① 必要な情報を提供しているか
=正しい情報を与えていなければ、スタッフも困惑します。そして、情報の提供が滞っているようだと、スタッフの当事者意識も薄れてしまっています。常に、自分一人で動いているわけではないんだという自覚の元、現況を共有するためにも情報は提供していかなければなりません。またそれは、透明性のある経営にもつながります。
② コミュニケーションの場を用意しているか
=「コミュニケーションをしよう!」という心掛け、気持ちだけでは、コミュニケーションは図れません。朝会や定期的な会議、日常の会話など、コミュニケーションの場を用意することが必要です。そして、下から情報が出てくる仕組みができているか、双方向のコミュニケーションになっているか、を改めてみる必要があります。
③ 何を期待しているのかを伝えられているか
=スタッフに対しては、適切な指示を出さなければなりません。何を期待しているかを具体的に伝えられなければ、スタッフも何をやったらいいのか分かりません。
仕事を任せるにしても、どこまでの権限を与え、何の成果を求めているかを伝えてあげなければ、仕事を任される側も動きようがありません。
⇒以上の①~③が実施されないと、対象者(スタッフ)のモチベーションを維持することは難しくなってしまいます
【身の丈に合った計画】
① 自分でマネジメントできる計画か
=身の丈に合った計画とは、何も予算の観点から語られるものだけではありません。自分のスキル、経験を大きく超える計画は、自身によるマネジメントを困難にします。組織の成長のためにはチャレンジも必要ですがけど、それも計画性が大事であり、挑戦と無謀は違います。
② スタッフのスキルも勘案しているか
=計画の理想ばかりが先行してしまうと、実際のプロジェクトを動かすスタッフがついていけなくなることがあります。自分の理想像を勝手にスタッフに押し付けるのではなく、事前にスタッフのスキルを勘案した計画を策定することも大切です。
③ 夢だけで語らない
=テレビや本で見る成功例の結果だけを見て、計画を語ってはいけません。夢のある計画を策定するにあたっても、現況分析から具体的な戦略の策定まで、根拠を持った計画である必要があります。大層な計画も、夢だけで語っていたら夢で終わってしまうことでしょう。
【スタッフとのあり方(リーダーシップの3類型)】
アイオワ研究というものにおいて、分類されたリーダーシップの3つの型について紹介します。ちなみにこの研究は、リーダーシップの類型は人格ではなく、その姿勢であることを教えてくれています。
① 専制型リーダーシップ
=その名の通り、リーダーがすべてを意思決定し、スタッフに決定事項を下ろす方式です。リーダーによる細かい指示出しがあるので、短期的には高い生産性を発揮すると言われています。しかし、その分リーダーには組織を導く知識が必要になるはずです。
ちなみに、自分のやりたくない仕事だけを振っているのは、リーダーではなくただのわがままです。
② 放任型リーダーシップ
=スタッフに大きく権限を委ね、意思決定や作業の手順もスタッフに任せるような方式です。専門性の高いスタッフが集まった集団では有効だとされています。この際にも、スタッフに任せたからリーダーに責任がないというわけではなく、リーダーには任せる責任があると思っています。自分の分からないことはスタッフに任せて、最後にその意思決定を覆すというのはリーダーの責任を全うしていません。
③ 民主型リーダーシップ
=スタッフも意思決定に関与させるために組織で議論し、意思決定を行っていく方式です。3つの類型の中で、最も効果的なリーダーシップの方式だとされています。リーダーには、組織全体をまとめるファシリテーター能力、バランス感覚が求められます。
⇒一般には民主型が理想的だと言われていますが、それぞれの特徴を理解することがまず大切だと思っています。たとえば、創業間もない時期には専制型でスタッフを導いたり、研究チームのような専門集団の管理では放任型で任せたりした方がうまくいくかもしれません。ただし、一番いけないのが、放任型でマネジメントをしつつも、専制型の意思決定を行ってしまうというパターンです。どれを選択するにしても、その特徴を理解し、その姿勢を貫くことが大事です。
(続く)
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